Musica Venezolana ムシカ ベネソラーナ
ムシカ ベネソラーナについて
サルサ、ボサノバ、サンバ、タンゴ、アンデス音楽etc…と既にラテン音楽は出尽くしたと思いきや、まだまだ残っていたんですね、日本ではあまり知られていない音楽が……それがこのムシカ ベネソラーナ!直訳してしまうとベネズエラ音楽。世界最後の秘境と言われる、知る人ぞ知るギアナ高地同様、音楽界でもこの国は秘境だったというわけです。
ここではムシカ ベネソラーナの魅力と音楽の種類をかいつまんでお話します。
ムシカ ベネソラーナの一番の魅力はそのリズムです。いろんな種類の音楽が乱立するのもムシカ ベネソラーナの特徴ですが、その中心となるのがリズムなのです。リズムを中心にベネズエラ音楽は咲き乱れるのです。そのリズムの重要性は楽器の演奏方法でもよく分かります。まずは次の3つの楽器を例にとってみましょう。
Instrument 楽器
Arpa、cuatro y maracas(アルパ、クァトロ イ マラカス)
ベネズエラを代表する音楽のひとつLlanera(ジャネーラ)。
ベネズエラからコロンビアにかけて広がる大草原地帯Llano(ジャノ)地方の伝統音楽ですが、それに使われるのがこのアルパ、クァトロ、そしてマラカスの3点セットです。
アルパはスペイン語でハープの意味ですが、日本でアルパというとパラグアイのハープが連想されがちなので、一線を画す意味で、ここではベネズエラハープと呼ぶ事にします。
ちなみにベネズエラには弦の素材や奏法が全く異なる別のタイプのハープもあります。トゥジェーラと呼ばれるものです。
しかしあのハープの優雅なイメージをベネズエラハープに重ねられると困ります。同じハープでありながら両極に位置するものと思ってください。ベネズエラハープに求められるものは男らしさ、荒々しさ。旋律は左右の手を交互に行き交い、従って、パーカッション的奏法も低音から高音へとめまぐるしく移動します。
クァトロは小ぶりの4弦ギターです。スペインから渡ってきたハープが中南米諸国で時とともに各々変容してきた結果、今日、同じようにアルパと呼ばれながらも形状の異なるハープが各地に存在するようになったと同様、4コースギターを起源とするクアトロと呼ばれる楽器はほかにも存在します。
そもそもクアトロとはスペイン語で「4」のこと。(プエルトリコのクアトロは今では5コースになりながらも、その名を留めていますね。)
さて、本題に戻りますが、ここでのクアトロはもちろんベネズエラ特有のもの。これは小さい上に伴奏に用いたり、ソロで演奏出来たりと用途が広いので、現地では10人~20人に1人ぐらいの割合で演奏されているお手軽楽器ですが、それだけに奥はもの凄く深いです。何故って弦を弾く手の動きがとても複雑なのです。リズム重視のムシカ ベネソラーナなので、アルパももちろんパーカッション的動きが入りますが、クァトロに至っては弦楽器か、パーカッションかわからなくなる程です。リズムによって弦の弾き方ももちろん変わります。入口は広いですが、誰でもその奥深くまでたどり着けるというわけではありません。
そしてマラカス。カラオケでお馴染みですね。しかしベネズエラのマラカスはまたちょっと違う。他の国のマラカスよりも小ぶり。そして中の豆の音がシャープ。ほとんどのマラカスが横にして演奏されるのに対して、ベネズエラのマラカスは縦振りが基本です。あの簡単な作りであらゆるリズムを振り分け、表現します。そしてもうひとつ意表をつくのが、そのパフォーマンス性。幅広いリズム表現とダンスのようなパフォーマンスが、マラカスという身近な楽器と結びつかず日本人の度肝を抜くようです。
音楽の種類を幾つか紹介
Llanera(ジャネーラ)
スペインのファンダンゴとルーツをともにすると言われるジャノ地方の音楽。ジャノはカウボーイの土地であり、愛を囁くようなロマンティックなものから、激しさ、荒々しさ、が求められるワイルドなものまで様々。
アルパ、クァトロ、マラカスに歌が入り、歌合戦のような形で弾き比べがよく行われ、ジャズに通じる即興性、オリジナリティーを競い合っています。地方によってはアルパの代わりにバンドーラが入ったりします。
Valz(ワルツ)
首都カラカスを中心に広まったバルス(ワルツ)。
洗練された、ロマンティックなものが主流で、ギター、マンドリン、フルートなどで演奏されることが多いようです。ベネズエラのバルスの良さはギター界では世界的に有名で、日本でもギタリストの間で静かなブームを呼んでいるようです。
Merengue(メレンゲ)
同じく首都カラカスを中心に広まった新しいタイプの音楽。
メレンゲはドミニカを中心にカリブ一帯でポピュラーなのですが、ベネズエラのメレンゲは微妙な揺れを持つ5/8拍子という変わったリズムのもの。全くの別物です。その独特のリズムのせいか、都会生まれのせいか、どこか悩ましげな曲が多いような気がします。
Gaita(ガイタ)
いろいろな種類がありますが、一番有名なのがベネズエラ第二の都市、マラカイボを中心に発達したガイタ スリアーナ。
11月から完全クリスマスモード突入なベネズエラではクリスマスソングの代わりに街中にこのガイタが流れています。(数か月間、飽きるほどに!)黒人音楽の要素が強く多種の太鼓を中心に演奏されます。お祭り系音楽なのでもちろん大人数。もともとちんどん屋のような宣伝屋としての役割があったらしく、その言葉遊びも魅力です。
Calipso(カリプソ)
こちらもアフリカ系お祭り音楽。トリニダード・トバゴ発祥と言われるカリプソは今では広く様々なかたちで楽しまれています。
ベネズエラでもカリブ諸島からの労働者によって広まりましたが、最も有名なのはカジャオ(ベネズエラ東部の町)のカリプソ。歌もスペイン語と英語、フランス語などがあります。楽器は手作りのものや、日用品をそのまま代用できるようなもので構成されていますが、クァトロでひき締めるところがベネズエラらしい…
Perfiles Rafael el Pollo Brito
you tube より、ポジョのインタビューを和訳してみました。
ラファエル エルポジョ ブリートです。音楽をこよなく愛する1人です。
まずは、父親に感謝したい、僕が11歳の時にクァトロを通して音楽への道を開いてくれました。
歌は10年前から、ガイタから始めました。
ベネズエラ音楽の魅力は何でもできる事、したいと思った事がなんで出来る事です。何せ300以上の種類があるのですから。
その中で僕が取り上げたリズムはアフロ ベネソラーノ。100%ダンサブルなリズムです。
僕の夢はグラミー賞をとること。グラミーをベネズエラにプレゼントしたい。そのためにはまず、僕たちベネズエラ人がムシカ ベネソラーナを愛することだと思ってます。